RECRUITインタビュー
このページはリクルート活動の一環として、
外部のインタビュアーに委託し、行っています。
イベントアニメーター編
コンシューマーゲームにおける「イベントアニメーター」とは
本日は、イベントアニメーターの皆さんにお集まりいただきました。それでは自己紹介をお願いします。
林谷僕は学生時代からゲームに興味があったので、就職先はゲーム会社で考えていました。ちょうどその時、モノリスソフトの創業を知り、新会社の立ち上げから関われることに魅力を感じて応募しました。入社当時からゲーム内のアニメーションとイベントシーンの両方作っていて、現在はカットシーンを担当しています。主に進行管理とクオリティ管理を行っています。
高野私も林谷さんと同じで、卒業してからずっとこの会社です。子供の頃からゲーム好きで、ゲームの仕事がしたくてプランナーとして入社しました。プランナーを担当しつつも、イベントシーンもやってみたいと思うようになり、現在に至ります。今は、スクリプトイベントの管理と制作、あとはサウンド関連の業務を行うことが多いですね。
太田僕は元々、CMやTV映像の制作をしていたのですが、そういった仕事の中で、ゲーム内映像を手がけることがあり、ゲームと組み合わさることで完成する映像というものに強く惹かれました。それからはゲーム内映像の制作をメインとして、それがきっかけでモノリスソフトに入社しました。今はプロジェクト内のイベントシーンの演出の統括と、スタッフの管理や他セクションとの折衝、協力会社とのやり取りをメインに担当しています。
大木私は、カットシーンの取りまとめと、クオリティコントロールを担当しています。担当する内容によっては、スクリプトイベントを組んだり、プログラマーやTAに対してツールの制作の依頼をしたり、あとは、データをゲームに実装する作業もしたりします。以前は別のゲーム会社でアニメーターとして働いていました。
倉薗僕は、主にスクリプトイベントの取りまとめを担当しています。学生時代からアニメーターを志望していて、卒業後にはゲーム会社にイベントシーン担当として入社しました。でも、より大きなタイトルに携わりたいと思った時に『ゼノブレイド』シリーズを手がけているモノリスソフトが思い浮かび、応募しました。
最初に「イベントアニメーター」の「イベント」とは何か教えていただけますか。
大木私たちにとっては当たり前になっていますが、同じ「イベント」という言葉でも業界によって使われ方が違うみたいなので一応説明しておきますと、コンシューマーゲームでの「イベント」は「イベントシーン」(以下、イベント)とも言ったりしますが、主にゲームの途中で流れるムービーシーン(以下、ムービー)のことだと考えていただければわかりやすいかと思います。とくにRPGではこのムービーに力を入れていることが多く、作品の世界観を表現するうえでも重要なものになっています。
高野ソーシャル系のゲームでは、期間限定でストーリーが追加されたり、成績を競ったりするようなものが「イベント」と呼ばれたりしますよね。あと、『東京ゲームショウ』のような展示会なども一般的には「イベント」と呼ばれていたり。なので、企画・運営の仕事もできると思って応募される方も時々いるみたいですが、それとは別の職種になりますのでご注意ください(笑)
倉薗コンシューマーゲームの「イベント」は、大きく分けて2種類あります。一つは「カットシーン」と呼ばれるもので、キャラクターの演出であったり、カメラワークに工夫が凝らされた、映画のシーンのような映像のことを指します。もう一つは「スクリプトイベント」です。これは、キャラクターのさまざまな動きを専用のツールで組み合わせて簡易的に作るので「簡易イベント」とも呼ばれているのですが、現在はカットシーンの動きとほぼ変わることなく演出ができるようになっているので、ユーザーの皆さんからみれば両者の違いはほとんど認識できないと思います。
ユーザーを魅了するために、広く、深く
日々の業務では、どのようなことが求められているのでしょうか?
太田コンシューマーゲームのイベント制作の現場は「映画を作るスタッフが揃っている」と言ってもいいくらいですね。仕事の範囲は本当に幅広いので、一人ひとりにさまざまなスキルが必要になります。一部ですがディレクション、進行管理、ゲームと映像のつなぎ監修、サウンドの監修や発注、また協力会社とやりとりする機会が多々あるので、対外的なコミュニケーション能力も大事なスキルになります。
大木イベントの作業は、その工程や段階によって立場が変わります。プロジェクトの前半では「今回の映像はこうしていこう」とプロデュースする側になったり、プロジェクトの中盤では、今度は他のスタッフに「こういうクオリティのものを作っていきたい」とディレクション側に回ったり。こちらから発注する立場になったら、全員が進行を管理する側に回る。その時々で求められるスキルも異なるので、オールラウンドにいろいろできたり、臨機応変に切り替えながら動くことが必要になってきますね。
倉薗使うツールもさまざまで、コンセプト的なシーンを作る場合はPremiereやAfter Effectsを使って編集したり、資料を作る時はPhotoshopで作ったり。3Dアニメーションを作る時や、モーションキャプチャーのデータを調整する時にはMayaやMotionBuilderを。最後は専用ツールで実機に組み込みますが、ちょっとしたバグなら自分たちで直しますね。
林谷通常の作業の流れだと、シナリオから絵コンテ、その後に映像制作に進むので、シナリオが上がるまでの待ち時間がどうしてもできてしまうんです。その待ち時間の間に、独自で動ける部分はどんどん先行して動くようにしていますね。出来上がっている部分のシナリオを読んで、プレイアブルの部分とイベント部分の間をつなぐ映像が必要だと思ったら、こちらから提案したりとか。
倉薗ストーリーは途中で何度か手直しが入るんですけど、イベントごとの表現したい「核」が大きく変わることはあまりないので、早い段階でその核をどうやって見せるか決めておくのは重要ですね。次の行き先を示したいなら、カメラワークでその場所を見せるとか、キャラクターの感情を表現したいなら、表情を見せるのか、ポージングで表現するのかとか。何が重要なのかをしっかり考えるために、ストーリーや絵コンテの読解力も必要だと思います。
高野そうですね。とくにスクリプトイベントは汎用的なアニメーションを組み合わせて作っているので、カットシーンと比べるとどうしても細かい動きや演技が難しいんです。そこをいかに工夫して、より良く伝えるかが求められると思います。たとえば、カット割りを工夫してみたり、複数のモーションをブレンドして見せるとか。大変ですけど、そういうところが面白さでもあるかな。
自分ならではの「イベントのこだわり」を教えてください。
大木ゲームを進めていくうえでの山場であったり、重要な部分でイベントが流れることが多いと思いますが、シリアスなシーンなのにキャラクターの動きがその場の雰囲気にあっていなかったり、直前まで操作していたキャラの衣装や装備が、いきなり変わっていたりしたら、「あれ? なんか変だな」って思いますよね。ユーザーがプレイしていて、そういった違和感を感じさせないようチェックは慎重にしています。
太田僕は、ユーザーに話をしっかり伝えることは当然として、物語を彩る全てのキャラクターの個性や魅力を活かすように気をつけています。なので、主人公だけにスポットライトを当てるのではなく、脇役でもなるべく平等に登場機会を設けるようにしています。
林谷プレイした皆さんに「このシーン、また見たい」と思わせられたら開発者冥利に尽きますね。でも現場的には、当然コストも意識して作っていかなければいけないので、そこをどうやって上手く見せるのか毎回考えます。キャラクターもカメラも固定で淡々と会話が進むシーンでも、ちょっとだけカメラを動かしてあげたり、キャラクターにちょっとだけリアクションさせるだけでも全然変わってくるんです。
高野私はイベントのサウンドを付ける作業も担当しているんですが、より世界観が引き立つ選曲を心掛けています。重要なイベントは監督自らBGMを編集して付けていて、それ以外を私が担当しているのですが、監督が付けた雰囲気を壊さないようにタイミングを計算したり、音量を調節したり。イベント中に流れる音楽は感情の面ですごく重要な部分を占めていると思うので、細かいところまでこだわっています。
倉薗すみません、僕は「こだわらないことが、こだわり」です(笑)
一同(笑)
倉薗イベントはそれこそ何十、何百とあるので、僕の場合、そのうちの一つにこだわりをもって作ってしまうと、全体として見た時に、ムラを感じてしまうんです。良かれと思って作ったその一つが悪目立ちしてしまうような感覚といいますか。そうならないよう全てのイベントを通しで、全体として確認しながら、バランスを見て進めるようにしています。
とくにやりがいを感じるのはどんな時ですか?
林谷イベントアニメーターが担当しているムービーは、発売前のプロモーションに結構使われることがあるんです。自分が携わったシーンをたくさんの人が見てくれると思うとものすごく嬉しいです。ネットなどで「あのシーン最高!」などと言われていると「そうでしょ! そうでしょ!」ってテンションが上がりますね(笑)
高野私は自分が演出にこだわったところ、たとえば、ちょっとした表情の変化や、背景で少しだけ動かしたキャラとか、そういった細かい動きに気づいてもらえた時に、やりがいを感じますね。
大木「発売○周年」の時に、ユーザーの皆さんがキャラのイラストを描いてSNSに投稿してくれたり、誕生日を祝ってくれたりするのを見ると、こちらまで嬉しい気持ちになります。
太田世の中にたくさんのゲームが発売されている中で、その作品やキャラクターを忘れずに、そのまま愛してもらえているというのは、作り手としては本当に幸せなことだと思います。
映像を愛するがゆえの喜びと苦悩
スキルアップのために日頃から行っていることはありますか?
大木私は、映像技術のトレンドをニュースサイトでいろいろ調べたりしてます。他社さんのゲームを見て、使われている技術を推測したり、最近では、プレイアブルからイベントへの移行が、暗転することなくスムーズにつながっている表現が多くなってきてるので、そうした表現をもっと取り入れていきたいです。
倉薗演出の意図を伝えるための方法として、絵は大事だなと思って、ここ数年は毎日、紙であったりPhotoshopで絵を描くようにしています。それから、イラストのメイキング動画などを見て、上手い人はどういう順序で描きはじめるのとか、どこが重要なポイントなのかを考えたりもしています。
林谷あくまでも自主的な取り組みですが、チーム内で時間があったらスケッチやクロッキーをするなど、少しずつ絵が描けるようにしていますね。あとは、絵コンテの講座に行って勉強したり。演出につながるようなものをできるだけ吸収していけたらいいなと思っています。
高野これは職業病なのかもしれませんが、映画やTVを見ていると、ついつい俳優さんの演技にばかり目が行ってしまうんです。自分ならどう演出するか、セリフはこうした方がいいんじゃないか、なんてことばかり考えてしまって、終わってから「あれ? ストーリーはなんだったっけ?」ってなってます(笑)
太田確かに、もう普通の見方はできないかもしれない(笑)。ゲームの仕事とは無縁の友人と一緒に映画に行った時に、自分だけ観点が違って「あのモデリングすごくなかった!?」とか、全然話が合わなかったことがありますね。
林谷わかります。映画もアニメもゲームも、本編よりも特典で収録されているメイキングのほうが楽しく感じてしまって。思考が完全に制作工程のほうにシフトしてますよね。
この会社に入って良かったことは何ですか?
倉薗僕の性格上、働く時は働く、休む時は休むというのがありまして、今の職場環境はすごく自分自身に合っていると思います。効率良く仕事するためにはどうしたらいいか、そんなことを常に考えてたりもしますね。
高野今は子育て中で時短勤務なんですが、育児休暇から復帰して、以前の仕事と何か大きく変わったということもなく、皆が良い意味で変わらず接してくれていて、すごくありがたいと思っています。家族ができたり、子供ができたからといって特に不安や不満を感じることもなく、安心して働き続けられる会社だと思います。
太田最近は働き方改革とかワークライフバランスなどが話題になっていますが、そういった動きが広がっていけばいいなと思いますね。
最後に、入社を検討されている方へ向けてメッセージをお願いします。
太田台本という文字だけの世界から映像を作り上げるのは、ゲームといえども映画作りと同じで、まさに「物語の始まりから終わり」まで全部に携わることができます。自分だったらこんなシーンを作りたいと思い描いている方、どんな作業でも携わってみたいと思っている方はぜひご応募ください。
林谷名作ってどのジャンルでもあると思うんですが、いつの時代にも語り継がれる「ゲームの名作」を作りたいと思っている方は、ぜひご応募いただければと思います。