このページは、リクルート活動の一環として
外部のインタビュアーに委託し、取材を行っています。

スタッフインタビュー

マップモデラー編

自然物から人工物まで
世界観のすべてを

本日は、主にゲーム内の地形や背景、建物やオブジェクトなどの
3DCG制作を担当されている「マップモデラー」の皆さんに
お集まりいただきました。それでは自己紹介をお願いします。

中村 前職はモバイル向けのゲーム制作会社で、
マップ関連のCGデータ作成とエフェクトを担当していました。
『ゼノブレイド』シリーズの壮大な世界観や重厚なテーマ性に惹かれて
モノリスソフトへ入社し、今年で5年目になります。
現在は東京の事業所で、地形のモデリングやアセットの作成・配置、
レベルデザインのほか、研究開発も行っています。

佐藤 私は、学生時代は美術系の大学で日本画を専攻していました。
元々ゲームが大好きで、中村さんと同じく『ゼノブレイド』シリーズをはじめ、
モノリスソフトが手がけるタイトルに魅力を感じて志望しました。
ゲームの立体感を構築しているのは地形だと思い、
マップモデラーとして入社し今年で4年目になります。
私も東京の事業所に所属しています。

岩切私も美術系の大学出身です。油絵科で学んでいたのですが、
次第に「動く立体物を作りたい」という思いが芽生え、
3DCG制作の仕事に興味を持つようになりました。
新卒で京都スタジオに入社し、地形班を経て、入社3年目くらいから
キャラクター班で装備品作成を担当した後、再び地形班に戻ってきました。

今は主任というポジションで、自らも手を動かしつつ、
チームメンバーが手がけた3Dモデルのクオリティ監修や、
任天堂さんとの窓口業務を行っています。

佐藤 中村さんはこの3人の中では一番キャリアが長いですよね。

中村はい、業界歴をトータルすると12年くらいになります。
前職で管理業務に携わった経験を活かして、テクニカルアーティストへ
ツール開発を相談する際の窓口も担当しています。

マップモデラーの皆さんは普段、どのようにお仕事を
進めているのでしょうか?

岩切私が携わっているプロジェクトでは、
2Dアートなどで指針となるイメージをいただいて、
それを3Dモデルとして立体化していく作業が基本になります。

ただ、ディテールの部分や、
建物の裏側などアートで描かれていない部分については、
こちらで「こういう見た目が良いのでは」と提案することもあります。

佐藤 ものによって2Dアート自体がない場合もあるんですが、
そういう時は腕の見せ所で、マップモデラーがモデリングしながら
デザインを作って提案したり、打ち合わせ中に手描きしたもので
イメージをすり合わせることもあります。

中村 僕が携わっているプロジェクトでは、
最初にプランナーから「こんな世界観を作りたい」という設計書をもらって、
それをマップ班のスタッフが確認し、
まずはキャラクター目線で歩ける大まかなマップデータを作ります。
それを元にアートディレクターやプランナーと一緒にイメージをすり合わせていき、
必要に応じて、2Dデザイナーに地形に合わせた詳細なアートを描いてもらっています。
マップのディテールは後からだんだんと出来上がっていく感じですね。

マップのことを「地形」や「背景」と呼んだりもしますが、
具体的に何を作るのかというと、山や湖、樹木などの自然物や、
建物に代表されるような人工物などさまざまです。
3Dモデルの制作はもちろん、場合によっては川や滝、
氷などにエフェクトを作って入れることもありますね。

お仕事ではどのようなツールを使っているのでしょうか?

中村 僕は主にMayaとSubstance Painter、ZBrushを使っていて、
Photoshopはちょっとした加工用に使うくらい。
あと、最近ではマップが広大で物量も非常に多くなっているので、
Houdiniの自動生成や自動配置の機能を使って作業の効率化を図っています。

岩切私も中村さんとほとんど同じです。
実は私、新卒で入社した当時はツールの使い方に慣れていなくて、
新人研修で基本を学ばせていただきました。
プロジェクト配属後もOJTのような形で、
研修と並行してゲームデータを作成していて、
そのおかげで今ではスムーズに仕事を進めることができています。
この期間は本当にありがたかったですね。

佐藤 私も新卒で入社した際に研修を受けました。
学生時代はほとんど3DCGの制作をしたことがなかったので、
Mayaの操作を初歩から学び、プロジェクト配属後も、
実際の開発環境で地形モデルの作り方や、キャラクターのデザイン、
モデリング、アニメーションといった、ゲーム開発の一連の流れを経験しながら
手厚く教えていただきました。使っているツールは、私も中村さんと同じです。

中村 ツール面では、僕もモバイル系からコンシューマーに移ってきたので
使われているツールの違いに不安はありました。
プライベートで多少なりとも触っていたとはいえ、
いままでと異なる開発環境に実践レベルで対応できるかなって。

でも、ラーニング用マニュアルや
プロジェクトデータに落とし込むためのフローが用意されていて、
スムーズに実作業に入れましたね。
気軽に相談や質問ができる雰囲気だったのも助かりました。

ディテールも、見えない部分も
作り上げる

日々の業務では、どのようなことが求められているのでしょう?

中村 先ほどのように、詳細な2Dアートがなかったり、
部分的にしか描かれてなかったりすることも多いので、
そうした部分を自身の発想やまわりから拾える情報で
補完しながら作成していくことが求められます。
そのためにも、日頃から自分が魅力的に思うものを観察したり、
資料を集めたりして、発想の引き出しを蓄えておくことが重要ですね。

佐藤 一定のクオリティを保ちつつも、できるだけ工数にムダがなく、
効果的に見せる工夫は大事だと思います。
例えば「壊れたオブジェクト」を作る時には、全体をボロボロに作り込むと
時間がかかってしまうので、一部分だけ印象的な壊れ方にし、
オブジェクト全体のイメージを成立させる、というような。

岩切 世界観を理解したうえで、
お客様にどういう画を見せたいのか意識することも大切ですね。
引き立てたい世界観やキャラクターよりも、
手前にあるオブジェクトが不自然に目立っていないかなど、
お客様がプレイした時に違和感を抱かない「自然さ」が求められていると思います。

中村ゲームの世界観をマップに落とし込むためには、
ディレクターやプランナーの頭の中にあるイメージを
文章や会話などから汲み取って、ビジュアル化することが求められます。
また、開発の状況は日々変化していくので、
それらをスムーズに把握して実行していくためにも、
円滑なコミュニケーションがとれる能力は欠かせないと思います。

岩切そうですね。そういった点でいうと、私は伝え方にも気を付けています。
チームメンバーから届いた3Dモデルのフィードバックをする時は、
なるべく1回で伝わるようにポイントを整理したり、聞きたいことをまとめたり。
事前に自分の考えを文章にしてから簡潔に、分かりやすく話すように心がけています。

お仕事をするうえでの「こだわり」や意識していることを教えてください。

中村 僕は、プレイヤーの歩く導線や視線を意識して、
興味を引くポイントや行ってみたくなるような地形を作ることを意識してます。
例えば道があると、無意識にそこに沿って歩きますよね。
じゃあそこから見える景色はどうなるだろうと考えたり、
視界をあえて岩でふさいで視線を他に誘導したり。

設計書は平面なので、地形の高低差は描かれていないんです。
そこに起伏を付けたり特徴ある地形を入れたりして、
魅力的なフィールドにする作り込みは
マップモデラーの本領が発揮されるところですね。

佐藤 現実には存在しないものを作ることが多いんですけど、
その外側だけではなく、見えない部分まで想像できるような
形状にすることを意識しています。
例えば、ゲーム内では外観しか見ることができない建物でも、
内部の構造がどのようになっているか考えたり。
そうすることで、本当にその世界の中で存在しているような、
リアルな仕上がりに見えると思うんです。

岩切構造のリアリティは大事ですよね。
私もよく建築系の雑誌を読んで勉強しています。
あと、それと同じくらいディテールも大切にしています。
町中を歩いている時にガードレールの錆び具合とか
面白い建築物のレリーフを見付けたりすると、
写真に撮って細かい表現の参考にしていますね。

中村それ、僕も似たようなことしてます。
お城を見に行っても、天守閣より石垣のディテールが気になって写真を撮ったり。
ついつい細かいところをじっくり観察してしまうんですよね。

皆さんがとくにやりがいを感じるのはどんな時ですか?

中村 先ほどこだわりの話で挙げた「興味を引くポイント」の話につながるんですけど、
僕が作ったポイントにプランナーがイベントを仕込んだり、
モンスターを配置してくれたりすると嬉しいですね。
お客様がその隠しポイントを発見して楽しんでくれていると思うと、
仕事のモチベーションも上がります。

岩切お客様に楽しんでいただけると本当に嬉しいですよね。
私の場合、タイトル発売前のトレーラー映像に、
自分が制作したものが使われたことがあって。
視聴されている皆さんと同じタイミングで目にして
「あ、映ってる!」って感動しました。

佐藤 私は、いただいたコンセプトアートに沿ってモデリングをした際に、
アートのイメージどおりの印象に仕上がった時には、充実感がありますね。
2Dが3Dになって、さらにエフェクトが付いた時には「おお!」と感動しました。

ゲーム開発を支える
理想の人物像とは

皆さんから見てモノリスソフトで活躍されているのは
どんな方たちでしょうか?

中村 自発的に行動したり、発言できる人が活躍している印象ですね。
「こういう新しい技術があるけど、うちでも使ってみませんか?」とか
「ビジュアル面でこういう発想を入れてみてはどうでしょう?」みたいに
率先して提案したり。
ゲーム開発では解決すべき課題が次々と出てくるので、
必然的にそうなってしまうという面もありますけど(笑)。

岩切ゲーム業界での経験が豊富な方が多いですよね。
問題解決のための具体的な提案以外にも、モデリングの技術とか、
ゲーム開発全体に関するいろいろなノウハウを他の人に伝授したりなど、
周囲に影響を与えられる方も活躍されているんじゃないでしょうか。
そういう意味では、やっぱりコミュニケーション能力に長けている人もそうですね。

佐藤 あとは、普段あまり使われていないツールに明るい方は、頼られていると感じます。
例えば、Substance Designerが得意な方には、
モデリングの前にテクスチャー作成をお願いして、
そのデータを各自で仕上げていけば表現の幅も広がりますから。

ご自身では、会社の中で今後どのような存在に
なっていきたいと考えていますか?

佐藤 まずは、3DCGの技術を全体的にスキルアップしていって、
今よりもっといろんな作業を任せてもらえる存在になりたいです。
モデリングをもっとスムーズに作成できるようになったり、
ツールの機能などもさらに使いこなせるようになるとか。

中村僕ももっといろんな技術や知識を身に付けていきたいですね。
背景アートを描く、レベルデザインを素早く詰める、
アセットの大量生産を行うなど、開発の段階によって必要なスキルは変わるので、
どんな状況でも柔軟に対応できる人を目指したいと思います。

岩切私は今、主任を任せていただいていますが、
もっと頼られる存在になりたいなと思っています。
自分なりの考えとか見方をよりしっかりとしたものにしていって、
それによって「これはぜひあなたにやってもらいたいです!」と
仕事を振ってもらえるようになるのが理想です。

スキルアップのために日頃から行っていることはありますか?

佐藤 先ほどこだわりの話で岩切さんも言っていましたが、
私も建築関連の書籍を読んで知識を蓄えたりしています。
最近はなかなか難しいですが、いろんな国の建築物を巡るのが好きで、
過去に訪れた中で一番印象に残っているのは、
世界遺産にもなっているカンボジアのアンコールワットです。
さまざまな年代の建築様式は、構造物をつくる時の参考になるので、
コロナ禍が落ち着いてきたらいろんなところへ行きたいですね。

中村終業となる19時以降は開発機材が自習用に開放されているので、
繁忙期でない時には仕事で触っていないツールを試しています。
例えば、衣服をデザインできるMarvelous Designerなど、
実際に仕事で取り入れられるか考えながら手を動かしていますね。
使い方を覚えたらスキルアップにもなるし、
さらには仕事でも活用できる。いいことずくめです。

岩切私は、ものづくりの土台として造形力や絵心は必須だな、と思っていて。
自宅でなるべく毎日絵を描いて、基礎を積み重ねることを大事にしています。
モノリスソフトに入社してからマップや装備品など、
商品となるアートをたくさん描いてきました。
学生の頃とは違った意味での緊張感の中で、
入社当初と比べて画力はだいぶ成長してきたと感じています。

この会社に入ってよかったことは何ですか?

岩切 仕事にメリハリを付ける意識が社内全体に浸透していると思います。
定時の間に集中してしっかり仕事に取り組み、休む時はちゃんと休む。
行き詰まった時や集中が切れた時はリフレッシュルームで気分転換できるので、
環境を整えていただいてすごくありがたいなと思いますし、
そのぶん頑張ろうとも思えます。

中村本当にそうですよね。
社員一人ひとりをとても大切にしてくれていると感じます。
コロナ禍での対応も速くて、とても安心感がありました。

佐藤 私は、入社初期からスキルアップの機会があったことに感謝しています。
DCCツールは何も知らないに等しい状態で入社したので、
仕事で扱えるのか不安だったんです。

でも、最初にMayaを勉強する時間を設けていただき、
教本に取り組みながらしっかりと覚えていきました。
困った時は教育担当の先輩に都度相談にのってもらい、
着実に実務能力を身に付けることができたと思います。

佐藤さんと岩切さんの応募の際のポートフォリオを
見せていただけるとお聞きしました。
作品をまとめるにあたってどのようなことを意識されたのでしょうか。

ポートフォリオより抜粋

佐藤 大学の就職課の方に相談しながら、
学生時代に一番頑張った日本画の作品を入れていきました。
あとは、モノリスの作品を少し意識してファンタジーっぽい色彩で描いた絵や、
デッサン力も評価の対象になると思い、
最後にデッサンやクロッキーも入れました。
ページ構成も考えながら工夫したり、作ること自体を楽しんだ記憶があります。

岩切私は、描写力や立体把握力などをアピールできればと、
専攻の油絵はもちろん、デッサン、3DCG、ぬいぐるみ、
共同制作の記録まで、いろいろ盛り込みました。
結果的に作品の幅の広さをアピールできてよかったなと思っています。

マップモデラー入社者のポートフォリオより抜粋

最後に、入社を検討されている方へ向けてメッセージをお願いします。

岩切 私や佐藤さんのようにDCCツールの使用経験がほぼない状態の方でも、
ものづくりをしたいという意志や知識を取り込む姿勢があれば、
ぜひ応募していただきたいですね。
学校で学んだ造形やデッサン力を足掛かりにして、
モデラーとして必要な技術を身に付けていっていただければ、
新卒の方でも活躍の可能性は多分にあると思います。

中村マップモデラーは作るものも覚えることも多いですが、
さまざまな表現を楽しめる職種だと思います。
スキル次第で任される幅が広がるので、
クリエイターとしての腕前を存分に発揮できますよ。
一緒に働けるのを楽しみにしています。

本日はどうもありがとうございました。

※感染症対策として
ビデオ会議形式にてインタビューを実施しました。

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