ご家庭のライトスイッチから見る論理回路

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はじめに

こんにちは。モノリスソフト テクニカルアーティストの森田です。
皆さんの家にはこのようなライトのスイッチはあるでしょうか。
廊下や階段など二カ所にスイッチが設置されていて、どちらのスイッチからでも同じライトを付けたり消したりすることができるものです。

tech_40_01.png

この構造を少し分析してみます。

スイッチとライトの状態を表にしてみる

スイッチの片方をA、もう片方をBと名付けます。

tech_40_02.png

スイッチを左に倒したときを「オフ」、スイッチを右に倒したときを「オン」と定義します。

tech_40_03.png

ここで、スイッチとライトの関係をわかりやすく表にしてみます。

スイッチA スイッチB ライト
状態1 オフ オフ オフ
状態2 オフ オン オン
状態3 オン オフ オン
状態4 オン オン オフ

入力が2種類のオンオフなので、この4パターンになります。
簡単に言うと「スイッチAとBのどちらかがオンであればライトがオンになる」ということになります。

スイッチとライトを論理回路として見てみる

この表のオンを1、オフを0と書き換えたものが次の表です。

入力A 入力B 出力
状態1 0 0 0
状態2 0 1 1
状態3 1 0 1
状態4 1 1 0

コンピューターの世界ではこの表であらわされる「入力AとBのどちらかが1であれば1が出力される」論理回路を「XORゲート」(または排他的論理和(eXclusive OR))と呼んでいます。

つまり、ご家庭のライトのスイッチはある種の「XORゲート」になっている、ことになります。

ご家庭のライトでのXORゲートの実現方法

さて、ライトではこのXORゲートをどう実現しているのでしょうか。
実は簡単な仕組みです。以下の図をご覧ください。

tech_40_04-05.png

スイッチAとスイッチBの間には二本の電線があり、スイッチ部分では行先を切り替えるという仕組みになっています。4パターンの図を用意しました。これで最初の表の状態を全て実現できることがわかります。

状態1

tech_40_04-05.png

ライト:オフ

状態2

tech_40_06.png

ライト:オン

状態3

tech_40_07.png

ライト:オン

状態4

tech_40_08.png

ライト:オフ

※ちなみに、この行先を切り替えるスイッチを「3路スイッチ」と呼びます。

TIPS:

実際には下図のような配線にもなりうるので、この場合は『「XOR」の否定』となるのですが、今回はわかりやすさのために上のような説明としました。(この場合は両方のスイッチA,Bともが「オンのときにライトが付く」となります。)

tech_40_09.png

スイッチA スイッチB ライト
状態1 オフ オフ オン
状態2 オフ オン オフ
状態3 オン オフ オフ
状態4 オン オン オン

3カ所以上ある場合は

では応用として、3カ所以上スイッチがあって、そのどこからでもライトをオンオフできる場合はどうでしょうか。(つまり、論理回路でいうとXORの結果にさらにXORを重ねるということです。)

その場合はこのような回路で実現することができます。

tech_40_10.png tech_40_11.png

ちなみに、中央にあるX字になったり=字になったりするスイッチを「4路スイッチ」と呼びます。

この4路スイッチを間に取り付けることで、シンプルな構成で無限にXORを増やすことが可能となります。
この仕組みを考えた人は天才ですね。

まとめ

コンピューターで使われる「XORゲート」は基本論理回路と呼ばれるものをいくつか組み合わせた、それなりに複雑な仕組みで構成されています。電気工事分野では、このXORを配線の仕組みだけでシンプルに実現できているのは、なかなか興味深いのではないでしょうか。

執筆者:森田

映像業界を経てモノリスソフトへ入社。 以来、テクニカルアーティストとして主にHoudini関連の業務を担当。 好きなお寿司は鉄火巻き。

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