初心で作るSubstance 3D Designer

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はじめに

こんにちは。モノリスソフト 3DCGデザイナーの金平です。
普段は業務で背景モデルなどを作成しております。

今回は業務の中で使用している
『Substance 3D Designer』でテクスチャを作成するプロセスについてお話しさせていただきます。

Substance 3D Desingerの使い方を勉強していざ0から作ろうとすると手が止まってしまう...
そうならないためにどういう流れで作成していくかという内容となります!
細かい説明は省かせていただきますが、ご了承ください。

Substance 3D Desingerとは

一言でいうと「ノードベースでプロシージャルにテクスチャを作成できるツール」です。
ノードベースという言葉に馴染みが無いかもしれませんが、一つ一つの処理をノードというGUIで捉え、つなぎ合わせることで任意の操作を行えるものです。
分かりづらいので、『左から右へぼかしや変形などの処理(ノード)が行われる』程度の認識でもあまり問題ないかと思います。

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以後はSD(Substance 3D Designer)と表記いたします。

基本的な考え方

作ろうとしても「何から作っていけば...?」となることが多いと思います。
なのでまずは何を作りたいのかはっきりさせます。
このイメージを、よりはっきりと行うことがポイントです。

『レンガ』で例えてみます。レンガというのはどういう要素で構成されているでしょうか?
積み方、目地、汚れ、欠け、多くの要素で構成されています。

tech_32_03.jpgのサムネイル画像

SDではそういった要素を一つずつ分解して作成するため、細かいイメージが必要となってきます。
答えから逆算して式を作っていくような感覚に近いと思います。

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ノードを知ろう

今回は作例として『メロンパン』を作っていきます。
タイリングテクスチャ以外に、SDではこういったものも作れます。

SDではHeightから作っていくと後々の作業がやりやすいので、Heightから作成していきます。

まずはメロンパンの形をイメージします。
真ん中が膨らんだドーム状の円形が思い浮かびますでしょうか?
Heightでイメージすると下のようになると思いますので早速作っていきましょう。

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丸の作成方法はなんでも構いません。
SDにおいて丸といっても作成方法は複数あります。
あまり一つの方法に固執せずいろんな方法を試してみましょう。

今回は『Shape』ノードを使用して作成しました。

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大まかなノードの分類

ノードは元となる形の『ジェネレーター』ノードと、それらを加工する『フィルタ』ノードがあります。
最低限ライブラリ内の「ジェネレーター」に入っているノードはできる限り触れておく必要があります。

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「フィルター」ノードはすべて覚える必要はありませんが、最低限「AtomicNodes」の中に入っているフィルタノードを理解する必要があります。

「AtomicNodes」とは

これ以上分解できない最も基本となるノードになります。
単色、テキスト、PSDのインポートやブラー、レベル補正など、他のツールでも見かける基本機能がまとめられています。

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基本はブレンド

次にメロンパンの特徴として、網目の焦げがあります。
「Tile Generator」を使用して網目を作り、少し変形して「ブレンド」ノードで乗算合成します。
このブレンドノードは非常によく使います。

「ブレンド」ノードを知ればSDの大半を理解したといっても過言ではないかもしれません。

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すこしメロンパンに近づきました。

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まだまだこれからです。メロンパンをよく観察してみますと、細かい凸凹や砂糖の結晶などが付いてます。
それらをすべて白黒で表現します。最初は大体でもかまいません。

次々とブレンドノードで合成していきましょう。

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大まかに作ろう

ある程度Heightが完成したら、それを元に大まかに『Base Color』『Normal』『Roughness』を作成します。

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使用したノードの簡単な解説となります。

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色味を調整しよう

ここまでHeightのみで作成していましたが次は先ほど作成した、『Base Color』『Normal』『Roughness』を分けて調整していきます。
難しく考える必要はありません。

ここでもブレンドを使用します。

今までと少し違うのがカラーのブレンドを行う際には少し注意が必要となり、カラーモードを合わせて合成しないといけません。

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なので『Base Color』のブレンドでは少しやり方を変えます。
今まで直接合成したものをマスクとして使用し色味を追加していきます。

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ディティールを詰めよう

この辺りでノードをさかのぼり、最初に作った網目等の間にノードを挟んで直接ディティールを加えます。
こうした調整が後々行えやすいのもノードベースの利点です。

ベベルで濃淡を加える

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ワープで歪ませる

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ブレンド合成で焦げ目にムラを作ってもいいかもしれません。

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ディティールを深めるついでに知らないノードを使ってみたりして、新しい表現を見つけるのもありです。
表現方法はいくらでもあります。自分なりの新しい表現レシピを見つけていきましょう。


作業に集中して気が付くとノードが複雑になりがちです。
複雑になりましたらフレームを作ってグループ分けをするとわかりやすいです。

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満足がいくまでディティールを詰めて完成となります。
おいしそうなメロンパンが焼きあがりました。

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まとめ

いかがでしたでしょうか?なんとなくの流れというものを感じていただければ幸いです。
Substance 3D Desingerは一日で覚えようとせず、コツコツ使って自分のできる表現を増やしていくものだと思います。
難しく考えず少しでも活用していただければと思います。

執筆者:金平

家庭用ゲーム開発会社を経てモノリスソフトへ入社。 以来、背景モデラーとして3Dモデル制作を担当。 好きな食べ物はとうもろこし。

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