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INTERVIEW / インタビュー

vol.01 モノリスソフト 取締役 高橋哲哉 CCOが見据える未来

経営者、あるいは、総監督として

高橋さんといえば常に開発現場の最前線に立たれてるイメージがあるのですが、本日、頂戴したお名刺を拝見しますと、肩書きに取締役/CCO(Chief Creative Officer)とあります。まずは、この“CCO”としての活動についてお聞かせください。

いきなり“CCO”というとなんだか堅苦しい感じがしますが、実際の業務としては進行中のプロジェクト、現在でいえば「ゼノブレイド2」の監督をしています。それ以外ではモノリスソフトとして世に出す作品のクオリティーチェックや企画・立案業務のアドバイスをしています。
それと、モノリスソフトには各プロジェクトを統括する「開発本部」という部門があるのですが、この部門に対して、会社を運営していく上での方針や戦略をアドバイスしています。

ゲーム開発における“総監督”としては、どのようなことをされているのでしょうか。

企画立案とクライアントに対するプレゼンテーション、脚本を書いたり、ベースとなるゲームのデザインなどは私が担当しています。ある程度コンセプトが固まってきたら実際に現場に落として――「ゼノブレイド2」の場合ですとディレクターの小島にその部分を渡して、各チームのリーダーに指示を出す、という流れで開発を進めています。
開発中期~後期は各ビルドのチェック、イベント関係の音響演出などをやりつつ次の準備といった感じですね。


JRPGにおける考え方

高橋さんはRPGというジャンルの中でもいわゆる“JRPG”にこだわって作品を作り続けてらっしゃる印象があります。この辺りのお考えをお聞かせください。

まずはじめにモノリスソフトという会社がRPGを主に制作する会社として設立され、人材を集めたといった経緯があります。

それから18年、現在のモノリスソフトにはRPGを作る人材やノウハウは十分にあるのですが、それをもって真正面から世界に挑んだとしてもAAAタイトル(トリプルエータイトル。膨大な予算と人員をつぎ込み数百万本単位で売れる大型タイトル)には勝てません。
ならば違う畑~というか方法論で挑もう、それが「JRPG」を選んだ一番大きな理由です。
JRPGのジャンルで世界的にも成功している古巣のバンダイナムコゲームスさんやアトラスさんを目標にしつつ、日々開発を進めています。


任天堂とのモノづくり

2007年に任天堂グループとなって今年で10年経ちました。近年「モノリスソフトの技術力が上がった」とのコメントをよく見かけますが、その点についてはどう思われますか。

評価頂いて本当にうれしいのですが、ごく一部を除いて、実は言うほどの技術は持ってはいません(笑)。本当に“枯れた技術”を一つずつ積み重ねていくことが得意で、ピーキーな技術や絵作りなどができる会社ではないんですよね。自分たちができることをできる範囲で、ただただ愚直にやっているだけの会社です。

もちろんタイトルを重ねる毎に、スタッフの技術力も前回よりも今回、今回よりもその次というように少しずつレベルアップはしていると思いますが、だからといっていきなりハードルを上げるようなことはしないように気をつけています。

そうなんですね。元々、高い技術を培っている会社というイメージがありましたので、その答えは意外です。

任天堂さんと仕事をするようになってから、その傾向が強くなったというのはあるかもしれません。「挑戦はするけれど無理はしない」「できることを積み重ねていく」。自分たちの持っている力を過信せずにゲーム作りをしていこうと。

もちろん「ゼノブレイドクロス」のようにプログラマーの頑張りによって完成したものもあるのですが、それはごく一部で、全体として見るとまだ「技術力が高い」と胸を張れるほどではありません。そういうものは今いるスタッフ、そしてこれから入ってくるスタッフで積み上げて進化させていくものではないかなと思っています。

先のインタビューで杉浦が答えているんですが、任天堂さんは良い意味でチャレンジさせてくれるんです。
なので「自分だったらここまでできるのに」「これだけ時間があればできるのに」という思いを持っている方がいれば、モノ作りにおいて諦めていたことを諦めずにできる環境がここにはあるので、ぜひモノリスソフトの門をたたいてほしいですね。
ただし物には限度があります。あくまで“常識の範囲内で”やらせてもらえているだけであって、無尽蔵、無際限に出来る訳ではないのでその辺りはお間違いなきよう(笑)。

高橋さんにとって「ユーザーがよろこんでくれるもの」は何だと思いますか?

求められるものは時代によってその都度変わっていると思いますが、僕自身ゲームをプレイする側でもあるので、常に色々なゲームをプレイし「ここはこうなったらいいのに」「ああなったらいいのに」と感じた事を集め、そして「最大公約数はこのくらい」であろうという感覚を自分の中で作り上げるんです。そうやって作り上げた最大公約数の感覚が「ユーザーがよろこんでくれるもの」であると信じ、物作りをしています。


今後について

以前、任天堂さんのインタビューで「僕らの世代は現場を引退するのが早すぎる」「現場の仕事は続けた方が良い」という趣旨のお話をされていました。

はい。本来は世代交代というか、次の世代が出てきてくれた方がモノリスソフトとしてはうれしいんですよね。これは生物と同じで、多様性がそこに生まれますから。何かしら問題が起きた時でも、臨機応変に対応できますし。

ご自身としてはどうなんでしょう?

モノは作り続けていきたいし、実際に他の業種――以前インタビューで話をしたかもしれませんが、映画やアニメーションといったジャンルでは50代や60代の方でも現役でバリバリと働いていらっしゃるので、それと比べるとゲーム業界は現場を退くのがちょっと早いなと、いまだに思っていますね。ただ、モノリスソフトとして見た場合、40代――もっといえば30代の若い世代でプロジェクトを持ってほしいという強い思いがありまして、モノリスソフトとしてもそこに注力している最中です。

それでは最後の質問になりますが、このインタビューをご覧になっている方々やモノリスソフトの作品のファンに向けて何かメッセージを頂けますでしょうか。

私たちがゲーム業界に存在できる理由、それはユーザーの皆さんの存在、ずっと根強くモノリスソフトを支持してくれている方々の存在があってこそだと思っています。
これは常々スタッフに言っているのですが、「自分たちがなぜご飯を食べられるのか考えてごらん」「それはお客さんがいてくれるからだよ」と。お客さんの存在はすごく大事なものなので、常に皆さんがよろこんでくれるものを作っていきたいと思っています。

ですので、肯定的な意見だけでなく「こうしてほしい」「ああしてほしい」というものがあれば、次の開発への糧になりますので、暖かく見守って頂きつつ、応援して頂ければと思います。

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