モノリスソフトスタッフインタビュー
キャラクターアート /
モデリング

本日は『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』(以下、本作)の開発に携わったモデル班の皆さんに来ていただきました。

H.O.

モノリスソフトのモデル班のリーダーを務めた。
複数のNPCのモデルを制作。

E.S.

敵キャラクター、生き物を担当。
生き物を担当するモノリスソフトのモデラーを統括。
ボスを含む複数の敵のモデルを制作。

A.O.

武器・素材を担当するモノリスソフトのモデラーを統括。
ワークフローの構築、ツールの整備に携わりつつ、武器のモデルを制作。

「ゼルダ」の
キャラクターモデルを形作る

モノリスソフトのモデル班は、本作の開発にどの段階から参加していたのでしょうか?

H.O. 開発初期から参加していました。
思い付いたアイデアを公開できる場所が用意されていまして。
参加してしばらくは、任天堂のアートディレクターから
伝えられたコンセプトを元に、
「こんな世界が作れたら面白いんじゃないか」というアイデアを
各々がスケッチに描きおこして投稿していました。

E.S. いくつかのスケッチは、実際にモデルを作ってみましたよね。

H.O. 開発初期は、任天堂のデザインリーダーから、
我々のアイデアに対して頻繁にフィードバックを頂く機会があり、
そうしたやり取りを通じて、
本作に求められるデザインの方向性について理解を深めていきました。

E.S. この頃のアイデアがきっかけとなって、製品に繋がったものもいくつかあります。
例えば敵キャラクターの「ホラブリン」のデザインは、
プロジェクトに参加して2週間ぐらいの頃に、
デザイナーが「洞窟」というキーワードから想像力を膨らませて
描いたのがきっかけです。

その頃はまだ洞窟がどんな遊びになるか固まっていなかったので、
デザインがすぐに採用されることはなかったのですが、
後に、洞窟の遊びを固める中で、遊びとの相性が認められて正式に採用となりました。

A.O. 私はモノリスソフトのモデル班が使うツールの整備も担当していたので、
周りのみんなが絵を描いたりモデリングしたりしている傍らで、
Pythonというプログラミング言語と格闘している時間が長かったですね。

任天堂との連携

本作のモデル制作はどのように行われていたのでしょうか。

H.O. 任天堂のデザインリーダーが決定したデザインの方針に沿って、
どのようなモデルを作ればよいか、キャラクター性をどう表現するか、といったことを、
常に細かくすり合わせながら制作していました。

A.O. その中で、自然とキャラクター性を表わす言葉が固まることもありましたよね。

H.O. 私が印象に残っているのは、ガノンドロフです。
ただ強そう・悪そうというだけではなくて、
妖しい魅力を感じるような方向性で話を重ねました。

特に筋肉の付き方や顔の影のつき方は、
モデルで目指す雰囲気を表現するために、最後の最後までこだわったポイントです。

モデリングの段階でも、かなり細かいところにまでこだわっていたのですね。

A.O. キャラクターデザインの段階でも、
かなり詳細まで方針が詰められていましたが、
それをツール上で忠実に3Dモデルに起こすだけではなく、
背景と合わせた時の馴染み方や、リンクの背中越しに見た時のサイズ感といった、
ゲームの中での見え方に合わせた調整を大事にしていました。
また、遊びに必要な情報を的確に伝えられているか、という観点も、
「ゼルダ」の制作を通して、より強く意識するようになりましたね。

E.S. 例えば、私が担当した敵の「兵隊ゴーレム」は、
全身がタイルやブロックを組み合わせて作ったような見た目なのですが、
似たような見た目ながら味方として登場するゴーレムもいます。

「兵隊ゴーレム」は、一見して敵だと分かるよう、
大きく不気味な目と角と歯が特徴的なデザインになっています。
その中で、目は敵の視線、角は倒した時に手に入る素材を伝える役割を担っているため、
歯は存在感がありつつも、悪目立ちして伝えたいことを損なわないよう、
本数や線の太さといった細かいことをモデルで調整しています。

近付いて戦闘が始まると、口が開いて敵らしさが強調されるのですが、
動きが激しい遊びの中でもそのバランスが崩れない塩梅は、
デザイン画だけでは分からないので、
繰り返し遊びながら様々な距離やシチュエーションでの見え方を確認していました。

A.O. そういったゲームに組み込んでからの細かい作り込みのため、
任天堂と最後までコミュニケーションを取り続けました。

A.O.さんは武器・素材を担当されたとのことですが、詳しく教えていただけますか。

A.O. 本作には「スクラビルド」という
武器と素材を組み合わせる遊びがあるのですが、
この遊びに対応したモデルを作るため、
モノリスソフト側の制作体制を整えるところから行っていきました。

武器と素材の組み合わせは、膨大なパターンがありますよね。

A.O. はい。12万通りある組み合わせを破綻なく成立させるにあたり、
任天堂からツールやノウハウを共有いただいたのですが、
新しい遊びのための新しい仕組みだったので、
関わるメンバー全員で作り方をしっかり確立していくことが重要でした。

ツールの使い勝手や、効率化のポイント等について相談したり、
武器への素材のくっつき方の法則やクオリティラインといった情報を
整理して資料化したり、
モノリスソフト側で正しいデータを量産できるよう、
任天堂と密に連携を取って実現していきましたね。

全員が同じ目線を持てる現場

開発に参加して、驚いたことや気づきなどはありましたか?

H.O. 週に一度、チームの全員が参加する会議があって、
会議ではディレクターから直接、
チームの状況や開発段階に応じた方針を聞くことができるので、
全員が同じ目線で仕事ができていると感じていました。

E.S. 開発が進むと何百人という人数がビデオ会議に参加していて、
規模の大きさを感じましたよね。

A.O. 私は、デバッグまで参加したのは初めてだったのですが、
この会議で、全員に向けて方針が丁寧に説明されたので、
きちんと意義を理解してデバッグを行うことができました。

E.S. 実装やデバッグにここまで深く携われるとは想像していませんでした。
モデルを制作して終わりではなく、
マスターアップまで責任をもって参加することで、
開発者は勿論、テスターの方も含め、
会社を越えて様々な職種の方と協力する機会がありました。
それぞれの役割からの視点や考え方に触れることができ、
ゲーム開発者としての知見が広がったことを実感しています。

A.O. 私たちの仕事のゴールはモデルの完成ではなく、面白いゲームをお客様に届けることで、
モデラーだけでなく、他の職種のみんなと
ゴールを見据えたコミュニケーションを取り続けることが本当に大事なんだな、
と「ゼルダ」の開発を通じて、改めて感じましたね。

ものづくりの最前線を目指して

モデル班としては、今後、どのような目標を持っているのでしょうか?

H.O. モデリングの技術やツールは進化が速いので、
技術トレンドをキャッチして、積極的に表現の幅を広げていきたいですし、
作るものがどんどん大規模になっていますから、
人数ももっと増やしたいと考えています。
将来的に、どんなリクエストにも応えられるチームになっていきたいです。

もっと人数を増やしたい、ということですが、E.S.さんとA.O.さんもキャリア採用からの入社で、本作がモノリスソフトでの最初のお仕事と伺いました。

E.S. はい。最初はモデラーとして限られた範囲の仕事からかな、と思っていたのですが、
実際には、アイデアを出すところからデバッグまで、
開発の全てに深く関わるチャンスがありました。
モデラーとしてだけでなく、ゲーム開発者としても成長できる環境だと思います。

A.O. 個人の成長意欲を後押ししてくれる文化もありますね。
冒頭で、モノリス内で使うツールを担当していた、とお話ししましたが、
実は、そこで使うプログラミング言語は
モノリスソフトに入社してから身に着けたスキルです。
学ぶ時間を作らせてもらえましたし、
テクニカルアーティストにも親身に協力してもらえました。

H.O. 二人のように、やりたいことがあって、自分から動ける人は、
仕事の幅をどんどん広げていけると思います。

本作の開発を通じて、いろんな経歴や様々なスキルを持つ人が集まり、
お互いに刺激し合う雰囲気がより一層高まってきました。
これからゲーム業界に飛び込もうとしている方にとっても、
鍛え上げた腕を存分に振るってみたい方にとっても、
ゲーム開発の面白さを感じられる現場だと思います。

本日はどうもありがとうございました。

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