このページは、リクルート活動の一環として
外部のインタビュアーに委託し、取材を行っています。

2022.02.01 京都スタジオ スタッフインタビュー

『あつまれ どうぶつの森』グラフィックデザイン担当

京都スタジオにおける「グラフィックデザイナー」とは

本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

高間よろしくお願いします。

まずは、自己紹介をお願いします。

高間はい。僕は、京都スタジオの「グラフィックデザイン班」班長として、宣伝広告用のグラフィック素材の制作と、チーム内のデータ監修、スケジュール管理などを行っています。

僕たちのチームは、ゲーム開発ラインとは別ラインになり、ゲームソフトそのものの開発にはかかわりません。ゲーム中のキャラクターのモデルデータ(以下 実機モデル)を元に、ハイクオリティなモデル(以下 ハイモデル)を作成するのが主な仕事になります。

実機モデルはゲームの処理速度やデータ容量にあわせて最適化されているので、そのまま宣伝広告用の素材として使うとなると、どうしても粗く見えてしまいます。テレビCMや各種映像、ポスターやパンフレット、パッケージなどに使用する場合は、それぞれの用途に適したハイモデルを用意する必要があるんです。

任天堂さんと、どのようにお仕事を進めているのでしょうか?

高間はい。最近ですと、マリオシリーズや『あつまれ どうぶつの森』のキャラクターを担当したのですが、マリオシリーズの仕事では、あらかじめ任天堂さんから「マリオをこういうポージングで、この角度から見たイラストを」というオーダーを受けて作業に入ります。

作業内容は、主に「ハイモデル作成」と「ハイモデルイラスト作成」の2種類です。「ハイモデル作成」では、実機モデルのポリゴン数を増やして形を整えたり、ポーズを変えたりして高解像の3Dデータを作成します。もう一方の「ハイモデルイラスト作成」の場合は、ハイモデルをレンダリングして、さらに細かな部分をPhotoshopでレタッチするので、最終的なデータは2D画像になります。

どちらの作業も、対象をクローズアップした時にキャラクターのかわいらしさや魅力が高まるよう細心の注意を払っています。洋服のしわや髪の毛1本1本の細かな部分を描き足していったり、より滑らかな形状にしていったりと、ディテールを詰めていったりしています。

作業の様子を見せていただけますか?

高間はい。マリオシリーズでおなじみのキャラクター、クッパを例にしてご説明しますね。

ゲームをしている時には全く問題ないのですが、実機モデルはパーツが部分的に体にめり込んでいたり、口の中やあごの下のテクスチャがレンダリングには暗すぎたりすることがあるんです。そういう細かい部分の色調整をしたり、ディテールを足したり、指先や毛先に動きをつけたり、腕や脚のボリュームを増やしたりしてハイモデル化していきます。いろいろ試してみて何パターンか提案することもあります。

それと、細かい部分ですが、目の瞳孔の位置も、目線がどこに向いているかを意識して微妙に調整したりもしています。主要なキャラクターの場合、細かい部分の作りをはじめ、見られる箇所も多いので、時間がかかることも多いです。

キャラクターの魅力を最大限まで引き出すために

これまで制作した中で、思い入れのあるものを教えてください。

高間『あつまれ どうぶつの森』ではいろんなキャラクターを担当したのですが、「しずえ」はまた特別です。店頭で無料配布された『ニンテンドーマガジン 2020 Summer』の「表紙」に使っていただき、それを見た時は「この仕事をやっていて良かった!」と感動しました。

「しずえ」は元の実機モデルから、もっと魅力が増すよう、もっと滑らかに、もっと丸みを出して、もっときれいな形に...と考えて作っていきました。とくに頭まわりや髪の毛は、何回も修正を繰り返して理想の形に仕上げていきました。服も着せ替えできるようにしたりと、本当にいろいろ手を加えて完成させたモデルなんです。

また、服だけではなくボタンやワッペンも、実機モデルはテクスチャですが、ハイモデルでは全部立体で作りました。ワッペンもゲーム内と同じイメージになるように、胸ポケットの位置を微妙に調整しています。気付く方は少ないと思いますが、結構細かいところに気を使って作ってあります。

任天堂さんとお仕事をしてみて、どのような印象を持たれましたか?

高間最初はものすごく緊張しました(笑)。でも皆さんおおらかで物腰も柔らかく、話がしやすくて安心しました。ですので「ここはどうなっているんでしょうか?」といった質問もしやすかったですね。いろんな技術を提供いただいていることも含め、すごく仕事しやすい環境だと思います。

僕たちの担当したものがグッズや広告などに幅広く使われていて、任天堂さんから「こういうところに使われましたよ」と教えていただくのですが、日本だけでなく海外の方の目にも止まるようなものもあって驚くことがあります。

お仕事で大切にしていることは何ですか?

僕たちグラフィックデザイン班が担当するものは、毎回異なるタイトルのキャラクターということもあり、作業の仕方や大事にすることも毎回大きく異なります。そのたびに試行錯誤しながら進めることも多いのですが、ただ一つ、それぞれのキャラクターが持つ「らしさ」だけはしっかり守るよう意識していますね。

それから、うまく進まない時には、あえて作業から一旦離れるようにしています。そうすることで、自分が作っているものを客観的な視点で見られるようになり、さっきまで苦戦していた部分がすんなり進められたりするからです。行き詰まった時こそ、意識的にまわりの人とちょっと別件の話をしてみたり、他のキャラクターの作業を進めてみたりするよう心がけています。

興味を追求していった先に広がる世界

どのような経緯で京都スタジオに入られたのですか?

高間芸術系の大学を卒業後に、海外で学ぼうとアメリカへ渡ったのですが、そこでの友人がきっかけで僕もCGを学び始めました。とはいってもほぼ独学で、最初はBlenderから始めたのですが、その後にZBrushを使ってみたらスカルプトにすごくハマって、オリジナル作品をたくさん作るようになったんです。

日本に帰ってきてから、元々大好きだったゲームの世界にも興味を持ち、『ゼルダの伝説』シリーズなども作っているモノリスソフトに入社しました。

ゲーム業界は未経験だったこともあり、不安はかなりあったのですが、面接の時に、3Dソフトの使い方はスタッフの皆さんが教えてくれると聞いて、安心して入社することができました。今の仕事に必要な技術の多くは、入社してから教えてもらいながら身に付けたものです。やりたかった仕事でいろいろ経験させてもらえて、本当にありがたいと感じています。

京都スタジオで働くうえで、求められるスキルや人物像を教えてください。

高間あらかじめ技術や知識を持っているに越したことはないですが、入社してから個人でスキルを高めたり、みんなと一緒に勉強したりしてもいいと思っています。とにかく興味を持って、楽しくものづくりができる人なら、すごく合う職場ではないでしょうか。あとは、少人数とはいえチームの連携が大切な仕事なので、問題に対して一緒に解決していける関係を築ける方だといいですね。

京都スタジオは落ち着いた雰囲気で、真面目な人が多いのですが、入社した当初から本当に優しく接してもらえています。そのせいか、打ち解けるのもすごく早かったと思います。ですので、安心して京都スタジオの門を叩いてほしいですね。

ご自身は今後どんな存在になっていきたいと考えていますか?

高間CGのものづくりは、すごく自分に合った仕事だと思っています。ですので、モノリスソフトで働く中で生まれた商品を通して、日本だけでなく海外の人たちにも喜んでもらえるCGアーティストになっていきたいです。また、ゲームソフト自体の開発にもいつか携わってみたいという気持ちもありますね。

あとは、班長としてももっと成長したいと考えています。チームに新メンバーが加わって、より充実した体制で作業が進められるようになったので、うまくチームを回せるようなマネジメントができるよう、意識していきたいと思っています。

最後に、入社を検討されている方へ向けてメッセージをお願いします。

高間これからゲーム業界で働きたい、モノリスソフトで働きたいという皆さん、僕のようなキャリアでも、興味と向上心があれば活躍できると思います。一緒にゲーム作りやイラスト作りを楽しめる仲間をお待ちしています。

本日はどうもありがとうございました。

※感染症対策として
ビデオ会議形式にてインタビューを実施しました。